大塚・キャンキャン その1

裏山手線、という言葉をご存じだろうか?
山手線には20を超える駅があるが、その内、池袋駅と上野駅に挟まれた駅達を、俗に裏山手線と呼ぶ。
(最も、こんな言葉は一般的には浸透してはいないが)
池袋も上野も、全国に名が知れ渡っている街で、駅も大きく発展しているのだが、その二つのメジャーな存在の駅に挟まれた数個の駅は、実に地味なモノである。
その中に大塚駅、という名の駅がある。
この大塚という街は、特段、何も無い。
一応、それなりに歴史のある街で、観光スポット的な場所もあるのだろうが、有名なモノはなさそうである。
小生も、東京に越して来た時点では、大塚という街は知らなかった。
そんな日陰者の街には、一つ突出した特徴があった。

ピンサロ、である。

この大塚は、ピンサロの聖地、と呼ばれているのである。
実際、駅周辺、徒歩5分以内、いくらでもピンサロが見つかる。
しかし、聖地、と同時に、墓場、としても名を馳せている。
すなわち、最底辺なのである。
値段が、ここ大塚以外では、日本全国何処へ行っても有り得ないような低価格なのである。
これは、週刊SPAでも取り上げられた。
当然、その店で働く嬢のレベルも察する事が出来る。
池袋や歌舞伎町では採用されないような「落伍者」が流れ着く風俗の墓場なのだ。
ただ、ここまで堕ちてしまうと、夜の世界特有の見栄やプライドも無いので、案外、嬢達は、和気あいあいとしている、とも言われている。
小生のように、抜きたい、しかし、風俗には5000円以上は使いたくない、出来たら、1000円とか2000円とか無いか?とか考えてる哀れな底辺の人間の為に存在している街なのである。

ただでさえ安い大塚のピンサロではあるが、それでも小生は、風俗サイトで更に値引きを狙う。
キャンペーン価格25分1980円の店を見つけた。
大塚ならば通常価格20分2000円の価格設定の店もチラホラあるが、そこでは普通体形の20代は期待出来ない。
その店「キャンキャン」は、普段は30分3000円の価格設定である。
大塚のピンサロで30分3000円は「中下流」であり、普通体型ならば30代40代がメインであろう。
この値段で抜けるのだから、贅沢は言えまい。
必ずしもハズレを引くとは言い切れまい、と期待を込めて、大塚へ向かう電車に乗った。

続く

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